スタジアム建設問題で、以前より不透明だった亀岡市の財政負担について、7月7日、さらに15億円上乗せされることが明らかとなった。
 市はこれまで用地買収やアクセス道路整備等にかかる市の負担分として35億円が必要としてきた。今回は、それとは別にアユモドキの共生ゾーン整備や「憩いの広場」、外周道路等に15億円を新たに見込んでいることを明らかにしたもの。市の負担総額は50億円に達することになる。
 巨額の財政負担への不安に対し、市は「プロジェクト・チーム会議で話し合っている」と言う。負担の上限はどこまでなのかとの質問には「増えるかもしれないし、減るかもしれない」と答弁せず、財政負担がこの先計り知れないことを暗示した。
 6月市議会でもスタジアム関連費用を含んだ中期財政見通しの公開を求める質問に対し、市長は「数字が一人歩きして市民に余計な心配や不安を与えかねない」として応じていなかった。

 巨額の費用をかけるというアユモドキ共生ゾーン整備のため、現在人工池をつくって実証実験を行っている、市の環境政策課に聞いた。

●実証実験の目的は?

―アユモドキの生息環境改善に有効な方策を実証的に検討する事が目的。スタジアムやその隣の駅北区画整理事業による開発の影響などの外的要因は一切考慮していない。

●外的要因の影響で、アユモドキが共生ゾーンを使わない可能性があるのではないか?

―極論すればそういう事もあるだろうが、そうならないように努力する。

●スタジアム建設で使用される有害物質や芝生に散布される農薬の影響は考慮しなくて良いのか?

―それらは府の管轄になるので府が配慮を行うのではないか。この実験とは関係が無い。

●実証実験の結果、アユモドキの生息環境が維持できないとなった場合、計画の根本的な見直しはあるのか?

―専門家会議の結論を受け、市と府が協議して判断する。

●保全対策の目標値は?

―基本的には現状以上の回復だが、生息数は年によってばらつきがあり、単年度では判断できず、目標値は定めていない。

●目標値が無い実験の成功と失敗は誰がどのような基準で判断するのか?

―実験終了後、専門家会議がデータを元に分析し成功・失敗の判断を行う。

●6月議会での市長の答弁、「実験は成功の兆しが見えている」の根拠は?

―議会で市長がそのように答弁していた事は知らなかった。確認する。

●実験地や状況を公開しない理由は何か?

―アユモドキが希少種であり、違法捕獲や実験の妨害を防ぐため。専門家の意見がまとまった段階での公表を考えている。

●共生ゾーンをつくること自体、アユモドキの生息場所を公表する事になるが、24時間警備でも付ける考えなのか?

―そういうことも必要だと考えている。

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 専門家会議とは、スタジアム予定地のアユモドキを含む自然環境保全のために京都府と亀岡市が共同で設置した有識者会議。会議では隣接の区画整理開発やスタジアムの配置等の影響について指摘が出ているのだが、市の環境政策課の認識は、これと異なる面がある。この専門家会議委員の見識と判断が亀岡市の将来に及ぼす影響は大きい。
この実証実験には、今年度だけで2900万円の予算が計上されている。