亀岡市土地開発公社名義の不正な5億円の借入および虚偽の土地売買登記が隠蔽された事件に関して、亀岡市長・栗山正隆ら3人が有印虚偽公文書作成・同行使の疑いで、5月13日、亀岡警察署に告発された。

 告発したのは酒井あきこ市議。

事件の経緯

 (財)亀岡市住宅公社(現会長・栗山正隆市長=住宅公社)が平成13年にM銀行から5億円を借り入れて余部町清水の土地を取得したが、平成17年、M銀行から5億円の返済を求められたため、同18年、住宅公社は市の債務保証が付く亀岡市土地開発公社(=土地公社)に土地売却を装って土地の所有権移転登記を行い、土地公社にJ銀行から5億円を借入させ、M銀行に返済した。
 住宅公社の常務理事は、土地公社の理事も兼任し、両法人の公印を管理していたため、独断でこのような処理を行う事が可能だった。
 栗山市長はこの土地公社名義の不正な5億円の借入および虚偽の土地売買登記を平成20年に認識したというが、事態を公にせず、秘密裏に処理。土地の所有権を元に戻すため、虚偽の有印公文書を作成して平成18年の架空売買登記を抹消した疑い。

市議会の対応

 平成23年12月市議会の一般質問で発覚した、公社をめぐるこの不法な土地処理問題を議会で解明するにあたり、証言や資料提出への強制力、偽証への罰則規定のある地方自治法第百条に基づくいわゆる百条調査委員会を設置して調査すべきとする提案が出されたが、市議会は反対多数でこれを否決し、そのような権限のない一般的な調査特別委員会の設置とした。
 平成24年8月に市議会調査特別委員会がまとめた調査報告書には、公務員として犯罪を告発すべき義務や市長自身が虚偽公文書作成に関わった疑いが指摘されているが、9月市議会で市長は、監督責任等を総合的に判断した結果だとして、1ヶ月間、報酬を3割削減すると申し出、市議会は賛成多数でこれを認め、追求の幕を下ろした。

問題の本質は何か

 告発した酒井市議は、「金銭的損害がなかったと主張する栗山市長の認識には重大な問題がある。事件を隠蔽しようとしたこと、そのために虚偽公文書を作成し、行使したことで、市民を裏切り、公文書への信頼をも損なう結果となった。犯した罪の本質を理解させ、反省を促す必要がある」と話している。

違法行為の全容

 この事件に関して、指摘されている違法行為は全部で7項目あり、そのうち5項目はすでに時効が成立している。今回の告発は来年3月に時効を迎える2項目について。
 現在、亀岡署による捜査が行われている。

行為 行為者 行為日 罪名 公訴時効期間 時効成立状況
登記の不実記載 常任・常務理事 H18.12.25 公正証書原本不実記載等 5年 成立
売渡証書等登記書類・
事業決算書作成
常任・常務理事 H18.12.25
~H19.5
虚偽公文書作成等 7年 成立
虚偽公文書行使等 7年 成立
登記原因証明情報作成 土地公社理事長
栗山正隆住宅公社会長
常任・常務理事
H20.3.31 虚偽公文書作成等 7年 未成立
虚偽公文書行使等 7年 未成立
借入執行 常任・常務理事 H18.12.25 背任罪 5年 成立
登記執行 常任・常務理事 H18.12.25 背任罪 5年 成立