京都府が亀岡市内に予定する球技専用スタジアムの建設予定地近くに生息する国の天然記念物アユモドキの保護について検討する府市合同の環境保全専門家会議が12日、京都市内であった。予定地内に設ける保護区域「共生ゾーン」(3・6ヘクタール)について、委員から「広さは十分なのか」などと指摘する声が相次ぎ、「予定地内で人工的に生息地を整備する実験を早急に実施すべきだ」との意見でまとまった。

密漁対策として、会議は非公開で行われた。事務局側によると、今年6~10月にかけて予定地や周辺で実施したアユモドキやえさのプランクトンなどの動植物生息調査について報告。アユモドキに影響があるとされる地下水の水位変動調査についても報告した。

亀岡市によると、委員からは「保護のための3・6ヘクタールという範囲は十分なのか」「アユモドキは生態がまだまだ未解明な魚。共生ゾーンのあり方を考えるにはもっとデータが必要」などと指摘が出た。人工的に小規模な繁殖場をつくる「再生整備実験」は市が主体となり来年度に実施する予定だったが、委員の意見を踏まえ、「年内にも実験の計画を早急に立て、来年6月にはスタートする」とまとまった。

また、岩田明久京都大教授らが9月に行った生息地での推定個体数調査の結果、今年生まれの当歳魚は160匹(昨年25匹)、1歳以上が512匹(同547匹)だったことも示された。

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