京都府は3日、亀岡市に建設する球技専用スタジアム計画で、予定地近くに生息する国の天然記念物アユモドキへの悪影響を懸念して計画見直しなどを求める要望がこれまで全国17団体から寄せられたと明らかにした。府は、住民や行政の努力で希少魚が守られてきたとして「建設と保全の両立に向け理解を得る努力を続けたい」としている。

 府スポーツ振興課によると、要望書などは昨年3月から今年4月まで、17団体から計20件が届いた。日本魚類学会は、府や市の「自然と共生した整備」は科学的根拠に乏しいと指摘、生息への影響調査を行う前に建設を決めたことを批判した。世界自然保護基金(WWF)ジャパンは「国際的にも希少なアユモドキの生存に脅威を及ぼす」と計画の再検討を求めている。

 府は3日に記者会見し、これまでの保全策を説明した。地元農家らがアユモドキの産卵に向けて農業用水の水位を調整していることや、密漁監視、外来魚駆除を続けてきたと強調。スタジアム近くに予定する保全ゾーンの整備など積極的保護策の必要性を訴えた。

 また亀岡市は同日、アユモドキの保全に向けた実験を5日から行うと発表した。産卵や稚魚の成育の場として、生息河川の近くに複数の池を掘り、保全ゾーン整備に向けたデータを集める。